作成:2021・08・07

お断り:恐縮ですが、個人的な感想と独断です。


SMCペンタックス Fフィッシュアイズーム 17mmF3.5〜28mmF4.5 の思い出

 魚眼ズーム SMC PENTAX-F FISH-EYE 17mmF3.5〜28mmF4.5 は、1995年発売当初からずっと気になっていましたが、今まで、正気を保っていました。最近、魚眼画像を広角画像に変換した写真(Fisheye Defished image)に興味を持ち、新品のHD PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED にまで手を出してしまい、変換ソフト「Auto uonome」を専用にカスタマイズしました。
 そこで止まりません。元祖の SMC PENTAX-F FISH-EYE 17mmF3.5〜28mmF4.5 の魚眼画像が補正をしてみたくて仕方ありません。常用する訳でもないので我慢ですよね 。。。意思が弱くて誘惑に負けてしまい、ネットオークションで手を出して 。。。14000円を散財してしまいました。

 

 SMCペンタックス Fフィッシュアイズーム 17mmF3.5〜28mmF4.5 の印象


 SMC PENTAX-F FISH-EYE 17mmF3.5〜28mmF4.5 のコンパクトさには感激します。当時の最小のF 35mmF4.0〜80mmF5.6のズームレンズより2mm長いだけです。なお、歴代最小の標準ズームは初代のF 35mmF3.5〜70mm4.5です。超広角や魚眼では、被写体に寄りたいときが結構ありますので、最短撮影距離が45cmでは少し不満を感じる時があります。ちなみに、タクマー/K 17mm F4 Fish-Eyeは20cmm、HD Pentax-DA 10-17mm F3.5-4.5 Fish-Eye EDなら14cmのクローズアップができます。

 そもそもフィルムカメラ用ですが、K-1で撮影すると等倍色収差が僅かに気になることがあります。HD Pentax-DA 10-17mm F3.5-4.5 Fish-Eye EDの等倍色収差のほうはは、APS-Cサイズ範囲では、同様にあまり気になりませんが、フルフレームでは盛大です(リニューアルするときになんとかして欲しかったところです) 。魚眼ズームなので、二線ボケが気になるほど見かけのシャープネスを追及していません。とはいえ、シャープネスは充分です。コーティングの反射色を組み合わせてゴーストを目立たなくするゴーストレスコートが採用されているそうです。条件が良ければ、抜けも良好で撮影して楽しいレンズです。20年前のレンズのコンデションかもしれませんが、HD Pentax-DA 10-17mm F3.5-4.5 Fish-Eye EDに慣れてしまうと、太陽が入ると青カブリしたりして不満を感じます。

 レンズ構成は7群9枚成で、最小絞りF22-32で絞り羽根は6枚です。対角魚眼なので、フードは固定です。固定フードのため、ズーム、フォーカス時に前群が回転しない工夫に苦労が偲ばれます。

 安いレンズではないのに、付属のレンズキャップは、簡素な樹脂製かぶせ式のL51mmで、ここまで原価低減しなくてもと思いました。そこで、高かったのですがLimited用の立派なメタルキャップに変えようとしましたが、そのままではユルユルで使えません。愛用しているという暗示にかかり易くするため、古いタクマーレンズ用のメタルキャップを使っています。

 

 系譜


 SMC PENTAX-F FISH-EYE 17mmF3.5〜28mmF4.5は、1995年登場です。この魚眼ズームの元祖に散財するにあたり、すこし予習をしておくことにしました。まず、平川純さんの解説論文(日本写真学会誌 Vol. 60 (1997) No. 2 P 94-97)です。
 “超広角ズームレンズを魚眼レンズとして開発すると簡易且つコンパクトな物になることに着目した”と書き始めています。
 ・魚眼レンズなら、歪曲収差を補正しなくて良い。
 ・なので、バックフォーカスの確保が容易。
 ・周辺像は圧縮されるので光量低下を軽減できる。
 ・歪曲収差によって広い画角を得られるので単純に焦点距離を短くする必要がない。
当時の量販用のセットレンズのSMC Pentax F 35mmF4.0〜80mmF5.6と同じ鏡胴を流用しているというウワサでしたが、まさに、比較した断面図が掲載されており、いずれも2グループ式ズームですが、前群の歪曲収差を補正しないことで魚眼ズームを実現しています。
 単なる超広角ズームでも、単なる魚眼レンズでもなく、思った以上に使い勝手のよい新しい概念のレンズが誕生したと文章は締めくくられています。

 コンパクトな既存レンズの鏡胴を流用して、原価を低減して提供してくれたのだと素直に感謝しますが、その割には当時は結構なお値段でした。そして、交代したAPS-C版の SMC Pentax-DA 10-17mm f/3.5-4.5 ED (IF) Fish-Eyeは、2006年〜2019年の長きに渡り、ラインナップされていました。
 レンズフードが着脱可能になり、HDコーティングされたHD Pentax-DA 10-17mm F3.5-4.5 Fish-Eye EDが、2019年7月に登場して、DFAレンズのロードマップからはフィッシュアイズームが消えました。

 焦点距離を短くする必要がなく程よい大きさの魚眼画像が得られるところが、魚眼画像-広角画像(Fisheye Defished image)変換の肝所になります。魚眼画像-広角画像変換に関する言及はありませんが、必要なら魚眼画像を広角画像に変換するようという啓示 。。。感じません?

SMC PENTAX-F FISH-EYE 17mmF3.5〜28mmF4.5のファイルを開くだけの「簡単補正」は、
Auto uonome Plus で広角画像変換ができるようにして、追加ページを改訂しました。

 

 その他


 SMC PENTAX-F FISH-EYE 17mmF3.5〜28mmF4.5もExif情報の焦点距離はアバウトで、20mmや24mmは±1mm程度の精度で、あまり再現性もありません。ただし、対角魚眼画像からのズームなので、あまり神経質になる必要はなく、広角画像変換に致命的な影響は感じませんでした。
 SMC PENTAX-F FISH-EYE 17mmF3.5〜28mmF4.5の魚眼画像を広角画像に変換してみると、17mm画像は、SMC Pentax FISH EYE 17mmF4よりも僅かに小さく、28mm画像もSMC Pentax-F 28mm F2.8よりも少し小さな画像になります。中心部の画像の大きさでも差があり、僅かに焦点距離の差があるようです。


追加のページがあります → ここ
HD PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED の歪曲補正(その2)
SMC PENTAX-F FISH-EYE 1:3.5-4.5 17-28mm 追記


 HD Pentax-DA 10-17mm F3.5-4.5 Fish-Eye EDは、APS-Cサイズのボディで SMC PENTAX-F FISH-EYE 17mmF3.5〜28mmF4.5に代わります。それだけでなく、K-1のフルフレームフォーマットでは、程よい部分円周画像が得られ、魚眼画像-広角画像変換の世界が広がります。また、HDコーティングの効果も抜群です。しかし、フルフレーム画面サイズの余裕と、コンパクトさだけは及びません 。。。元祖魚眼ズームの捨てがたいところです。

 


 

 

 更新日 :2021・08・07.
 Product Code 27000